一口にプレッシャーに弱いといっても、問題の表現型は1人1人異なっていますし、性格傾向も多種多様です。さらに種目特性も社会的要求も異なっています。したがって治療のプロトコールを一般化することはとてもできません。今回はユングの方法の応用をご紹介します。
定期的に入れ替えて他の応用例もご紹介します。
本番でのベストパフォーマンスの障害となる心的因子の理解の一例
パフォーマンスを低下させる心的因子の理解にはさまざまな視点があり、実際の治療においてはそれぞれのプレーヤーに最も適切な分析方法を選びますが、ここでは一例として、ユングの分析心理学の手法を用いた障害因子の特性を3次元的に示しています。こうした特性を理解していくこともゴールに至る重要なプロセスの一つです。
まず、水平面が個人の性格傾向を示していて、意識界の活動(右奥方向)と無意識界(左手前方向)の活動に分けます。意識的な判断としては、理性(思考)と感情があり、無意識的な活動としては感性と直感があります。理性は意識的に客観的であろうとしますが、無意識界から干渉を受け、正しい思考を貫くことは容易ではありません。考えすぎて間違った決断をすることもよくあることです。一方、感性は無意識的に客観的把握を担うのでスピーディーで、スポーツにおいては柔軟な対応能力とも関連するので磨きたいセンスです。感情は意識的な活動ですが、理性としばしばぶつかり、また、無意識界の干渉を受けるため、その制御は容易ではありません。競技のパフォーマンスにもしばしば障害因子となります。無意識界の影響も大きいからです。直感は無意識的活動の産物であり、創造的なこともあれば破壊的なこともあります。直感が正しいかどうかを理性が判断できるのか、また直感が行動を起こさせるのはどのような場合かを理解することは大切です。
こうした性格の特性平面とは垂直方向に、心的要因が大きい個人競技と環境要因が大きいチーム競技の軸を設けています。チームスポーツでは、構成員それぞれの個人的要因のを理解するだけではなく、さらに全体として機能しない理由を新たに見いださなければなりません。心理学はコーチングにおいても重要な役割を演じる可能性が残されています。
問題点の整理、環境の分析
ベンチマーク
・パフォーマンス、練習、試合の実地調査
・身体機能の理解
・運動生理学による分析
・ストレスレベルの調査
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カウンセリング
フィードバック療法
選手に適切と考えられる治療手法の選択による自己理解および自己変革プログラムの実践
・治療の過程で複数の手法を順次、系統的に実践
・試合での実践効果の確認
・安定した自己制御能力の獲得トレーニング
※スポーツ精神医学の治療とは、特定の心理療法や行動療法の方法論にとらわれることなく、複数の手法から個々の選手に最適なもの(あるいはいくつかの組合せ)を探し出すプロセスとその実践で、最終的には自立した自己変革の獲得(維持)を目標とします。このため、同じ競技でも選手によってアプローチが全く異なってくるのが普通です。
※time scheduleについてはFlussdiagrammを参照にしてください。
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